2018年に発売された新型iPadが発表され2週間以上経ちましたが、iPad Proとどっちを購入すべきか悩んでいるのではないでしょうか。Apple Pencilを使えるようになった第6世代のiPad。あえてiPad Proにするメリットもないと感じてしまうのも仕方がないことです。
そこで本記事では、2018年新型iPadとiPad Proをあらゆる角度から比較検証してみました。どっちのiPadを購入しようか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
また、両端末に関して実機レビューも行っています。
新型iPad(第6世代)とiPad Proのスペック比較
単純なスペックを言ってしまうと、iPad(第6世代)よりもiPad Proのほうが高性能となっています。ディスプレイオプションの違い、CPUの違いで新型iPadは負けてしまっています。
そして、下記がiPad(第6世代)とiPad Pro 10.5、およびiPad Pro 9.7のスペック比較表となります。(iPad Pro 12.9はディスプレイや重さが10.5と異なるだけなので割愛)
iPad(第6世代) | iPad Pro 9.7 | iPad Pro 10.5 | |
プロセッサ | A10 Fusion | A9X | A10X Fusion |
ROM | 32/128GB | 128GB | 64/256/512GB |
RAM | LPDDR4 2GB | LPDDR4 2GB | LPDDR4 4GB |
ディスプレイ | 2,048 x 1,536ピクセル 9.7インチ Multi-Touchディスプレイ 耐指紋性撥脂コーティング |
2,048 x 1,536ピクセル 9.7インチ(264dpi) Retinaディスプレイ Multi-Touchディスプレイ 広色域ディスプレイ True Toneディスプレイ 耐指紋性撥脂コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング |
2,224 x 1,668ピクセル 10.5インチ(264dpi) Retinaディスプレイ Multi-Touchディスプレイ 広色域ディスプレイ True Toneディスプレイ 耐指紋性撥脂コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング |
アウトカメラ | 約800万画素 ƒ/2.4の開口部レンズ Live Photosでの撮影 5枚構成のレンズ 1080p(120fps)スローモーションビデオ |
約1200万画素 ƒ/2.2の開口部レンズ Live Photosでの撮影 6枚構成のレンズ Focus PixelsでのAF デュアルTrue Toneフラッシュ 自動手ぶれ補正 4Kビデオ撮影(3,840 x 2,160、30fps) 3倍ビデオズーム 1080p(120fps)スローモーションビデオ |
約1200万画素 ƒ/1.8の開口部レンズ Live Photosでの撮影 6枚構成のレンズ Focus PixelsでのAF クアッドTrue Toneフラッシュ 光学式手ぶれ補正 4Kビデオ撮影(3,840 x 2,160、30fps) 3倍ビデオズーム 1080p(120fps)スローモーションビデオ |
インカメラ | 約120万画素 ƒ/2.2の開口部レンズ Retina Flash 720p HDビデオ撮影 |
約500万画素 ƒ/2.2の開口部レンズ Retina Flash 720p HDビデオ撮影 |
約700万画素 ƒ/2.2の開口部レンズ Retina Flash 1080p HDビデオ撮影 |
バッテリー | 32.4Wh | 27.5Wh | 30.4Wh |
通信方式 | WiFi(802.11a/b/g/n/ac) デュアルチャンネル(2.4GHz/5GHz) Bluetooth 4.2 |
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その他 | Apple Pay対応 Apple Pencil対応 Touch ID 2スピーカー |
Apple Pay対応 Apple Pencil対応 Touch ID Smart Keyboard対応 4スピーカー |
Apple Pay対応 Apple Pencil対応 Touch ID Smart Keyboard対応 4スピーカー |
サイズ | 高さ:240mm 幅:169.5mm 厚さ:7.5mm |
高さ:240mm 幅:169.5mm 厚さ:6.1mm |
高さ:250.6mm 幅:174.1mm 厚さ:6.1mm |
重量 | 469g/478g | 437g | 469g/477g |
発売日 | 2018年4月 | 2016年3月 | 2017年6月 |
2016年に発売されたiPadはApple Storeにて整備品として販売されています(現在、新品としての販売はAmazon等のみ)。なので、今回比較する端末は、新型iPad(第6世代)とiPad Pro10.5/12.9としたいと思います。
新型iPad(第6世代)はiPad Proよりも厚くなっています。バッテリー容量に関しては新型iPadの方が大きくなっていますが、実際の駆動時間は約10時間程度とiPad Proとほとんど変わらないようになっています。
【1】どちらもApple Pencilを使える
以前まではiPad Pro専用だったApple Pencilですが、新型iPad(第6世代)で遂にApple Pencilに対応しました。Apple Pencilを使えるのがiPad Pro最大の利点だったのですが、その利点が消えてしまったためどっちを購入すべきか悩むユーザーも増えたように感じます。
書き心地に関しては、iPad Proと全く変わりません。しかし、それはiPadに標準で入っているメモアプリとApple Pencilを使って文字を書く時の話。
お絵かきにも使えるアプリ「メディバンペイント for iPad」を使って絵を描く時はディスプレイの仕様が違う影響か、自分が置いているペン先と、実際に描いている位置が若干ズレてしまうことがあります。
iPad Proではほとんど感じなかった違和感ですが、この違和感の正体はディスプレイ仕様として採用されている「フルラミネーションディスプレイ」の有無ではないかと推測しています。
2018年に発売された新型iPad(第6世代)にはフルラミネーションディスプレイが搭載されていないため、液晶画面と表面のガラスの間に隙間ができてしまっています。一方のiPad Proでは隙間がほとんどありません。
この隙間の有無が、今回感じた若干のズレの原因かと思います。自分が座っている向きやペンの角度などで表示も変わってくるため、本格的なイラスト作成をするという方には少し不満が生まれる可能性があると感じました。
【2】CPU性能はiPad Proに軍配が上がる
新型iPad(第6世代)に搭載されているCPUはiPhone 7/iPhone 7 Plusに搭載されたプロセッサです。プロセッサが同じなため、ベンチマークを測定した場合、ほとんどiPhone 7と変わらない性能を記録することができました。
iPhone 7同等のスコアを記録できているので、スペックとしては比較的高いと言えます。
一方のiPad Proでは、A10X FusionがCPUとして採用されています。A9Xから単純なCPU性能が約1.3倍、CPU性能に関しては1.4倍パワーアップしたチップとなっており、A10 Fusionと比較しても断然上です。
実際にiPad ProのベンチマークスコアをGeekbench 4で計測してみても、違いは一目瞭然。
シングルコアで約1.1倍、マルチコアで約1.6倍の性能差を確認することができます。
しかし、ここまで大きな差が出ているCPU性能ですが、実際に利用してみるとA10 Fusionの新型iPad(第6世代)の動作に不満は一切ありません。どんなアプリでもある程度快適に動かせるので、CPU性能を極端に気にする必要はないと言えます。
【3】Smart Keyboardが使えるのはiPad Proのみ
iPad Proの取り付けるだけですぐに使える事が売りのSmart Keyboard。充電やペアリングも必要がないため、iPad Proでキーボードを使いたい方にはおすすめなアイテムなのですが、残念ながらiPad(第6世代)では使うことができません。
その理由は、Smart ConnectorがiPadに搭載されていないからです。iPad Proには側面に3つの丸い点、Smart Connectorが搭載されており、この部分とSmart Keyboardをコネクトするだけでキーボードが使えます。
Bluetooth接続ならばiPadでもキーボードが使える
しかし、iPad(第6世代)でキーボードが使えないわけではありません。Amazonや楽天などで販売されているBluetoothキーボードを購入すれば、iPadでもキーボードを利用できます。
キーボードとケースが一体型になっている製品や、Bluetoothキーボード単体でも様々な製品が販売されています。ペアリングする、充電が必要という手間もありますが、Smart Keyboardのように利用できるので、Bluetoothキーボードもおすすめです。
新型iPad対応Bluetoothキーボード
Amazonで詳細を見る【4】ディスプレイはiPad Proのほうがキレイ
新型iPad(第6世代)とiPad ProはCPU性能にも差がありますが、最大の違いはディスプレイ部分でしょう。新型iPadには色味を補正できるTrue Toneに非対応なので、 状況に応じて最適な色をディスプレイに映し出す調整ができない、さらにHDRやP3にも非対応です。
また、反射防止コーティングもないため、画面への映り込みがきになります。しかし、この機能はアンチグレアの液晶保護フィルムを使えば解決できる部分でもあるため、さほど大きな影響はないとも言えます。
ベゼル幅の違いで画面を大きく見せるiPad Pro
高さ250.6mm、幅174.1mm、厚さ6.1mmのiPad Proと、高さ240mm、幅169.5mm、厚さ7.5mmの新型iPad。iPad Proと意外に差がない高さと幅ですが、その差の正体はベゼル幅の大きさにあります。
iPad Proでは縦横のベゼル幅がiPad(第6世代)と比べても狭くなっています。ベゼル幅を狭くすることで、端末サイズをそこまで大きくすることなくディスプレイを大きく見せることに成功しています。
iPhone Xのようにホームボタンを廃止すればもっとディスプレイサイズを大きくすることができそうですが、iPadでその仕様になるのはもう少し先の話になりそうです。
【5】カメラ性能もiPad Proの方が上だが…
新型iPadのアウトカメラは約800万画素のF値が2.4のレンズが使われており、iPad Proの約1200万画素、F値2.2のレンズに比べるとやや劣ってしまいます。
また、iPad(第6世代)にはFocus Pixelsでのオートフォーカス、True Toneフラッシュ、光学式手ぶれ補正などが存在しません。さらに価格帯を抑えるためか、4Kビデオ撮影も搭載されていない仕様となっています。
ですが、iPadを持ち歩いて写真や動画を頻繁に撮影するかと言われると、そこまで多くはないと思います。外で撮影をするならば、iPhoneなどの持ち歩きしやすいデバイスを使う人がほとんどでしょうし、iPadは自宅や職場で利用する人がほとんどです。
なので、個人的にはiPadを始めとしたタブレット端末のカメラ性能はおまけ程度と考えています。この辺は個人差が大きい部分と言えます。
【6】iPad(第6世代)は選べる容量が少ない
微々たる問題ではありますが、新型iPadでは、ROM容量が32GB/128GBの2種類しか存在しません。愕然としましたが、iPad Proには存在する丁度よいサイズの64GBが新型iPadにはありません。
32GBではすぐに容量が一杯になってしまいますし、かと言って128GBだと少し多すぎると感じる人には若干不満が残るかもしれません。
一方のiPad Proでは、64GB/256GB/512GBの3種類が用意されています。丁度良い64GBが下限となっており、後は大容量ばかりです。
既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、新型iPadはiPad Proにない容量を補完しています。この辺も差別化のポイントとしてAppleが用意したかもしれません。
【7】価格はiPad(第6世代)が圧倒的に安い
価格帯に関しては、新型iPadのほうが圧倒的に安くなっています。Apple Pencilも利用できるので、今までiPad Proが高くて手を出せなかった方も手軽に利用出来るようになったとも言えます。
それぞれの価格は次のとおりです(Appleストア参照)。
iPad Pro 10.5
- 64GB:69,800円/84,800円(税別)
- 256GB:86,800円/101,800円(税別)
- 512GB:108,800円/123,800円(税別)
iPad Pro 12.9
- 64GB:86,800円/101,800円(税別)
- 256GB:103,800円/118,800円(税別)
- 512GB:125,800円/140,800円(税別)
iPad(第6世代)
- 32GB:37,800円/52,800円(税別)
- 128GB:48,800円/63,800円(税別)
また、教員・学生価格での購入だともう少し安くなり、iPadならば35,800円から、iPad Proならば67,800円から利用することが可能です。
Apple Pencilが使えるiPadを3万円台から利用できるのは、今回の大きな進歩と言えます。
結局どっちを買うべきか
ここまで新型iPadとiPad Proを比較してきましたが、それぞれどっちを買うべきかを最後にまとめます。
iPad10.5/12.9インチに向いている人
iPad Pro(第2世代)に向いているのはこんな方です。
- より大きな画面サイズで使いたい方
- 価格について気にしない方
- より精度を高くしてApple Pencilを使いたい方
- なるべく高機能で使いたい方
- 長くiPadを使っていきたい方
新型iPad(第6世代)に向いている人
新型iPad(第6世代)に向いているのはこんな方です。
- とにかく安価でApple Pencilを使いたい人
- 本格的なイラスト作成ではなく、簡易なお絵かき程度に使う人
- CPUの性能差をそこまで気にしない人
- ディスプレイの仕様を気にしない人
- Smart Keyboardを利用する予定がない人
新型iPadのスペックでしたら、音ゲーや3Dゲームも問題なくプレイできます。また、iPhoneと違いイヤホンジャックも搭載しているので、遅延問題とも無縁です。
正直な所、どちらを選んでもある程度満足する結果を得られると思います。しかし、価格や性能面を見てコスパが良いものを選びたいのでしたら、2018年に発売された新型iPad(第6世代)が圧倒的におすすめです。