5G通信には特有の周波数帯があります。
この「周波数帯」という言葉、普段なかなか聞き慣れない単語です。
3G・4Gのときと比べて、その周波数帯はどのように変わったのでしょうか。
これらを日本・海外の事例と併せて確認していきましょう!
5Gの周波数帯について
5Gの周波数帯は3G・4Gと比較してどのような違いがあるのでしょうか?
そもそも「周波数帯」という言葉、その周波数帯に使われる「Hz」という単位など、難しい単語がいくつかあります。
これらを併せて解説していきます。
周波数帯とは?
「周波数帯」とは、電気信号・電波の周波数の単位のこと。
他にも「周波数帯域」「バンド」と呼ばれることがあります。
「さまざまな電波が入り乱れないように区分けする範囲」と考えるとわかりやすいです。
周波数帯は利用される一番低い周波数と高い周波数の領域を表します。
周波数帯が広いと、一度により多くのデータを送受信可能に。
例えば5Gの28GHzという周波数帯だけで、4Gの2倍以上の帯域幅が扱える広さです。
データの通信速度が速いのは、周波数帯が広いことを意味しています。
インターネットのブロードバンドは同様の意味合いで、周波数帯が広く、さらに高速通信が可能です。
それぞれの周波数帯によって特徴は異なります。
- MHz帯
MHz帯は周波数帯は狭いけれども、より遠くまで電波を届けられます。
周波数帯の数値が低いと、電波が障害物の後ろに回り込んだり、障害物自体を貫通できたりするので、遠方へ飛ばしやすいという原理です。
電波がつながりやすいMHz帯は、利用価値が非常に高く「プラチナバンド」とも呼ばれています。 - GHz帯
GHz帯は周波数帯が広いので、たくさんのデータを送受信できるというメリットがあります。
一方でその周波数帯を使用する人が増えすぎると、回線が混み合ってネット接続が遅くなるというデメリットも。
ただし電波の相互干渉を防ぐという観点では、都心部には高周波数帯の方が適しているでしょう。
また日本の携帯キャリアが利用できる周波数帯は総務省によって決められています。
例えばKDDI(au)であれば、700MHz、800MHz、1.5GHz、2.1Ghzと周波数帯が割り振られています。
Hzとはどういう単位?
Hz(ヘルツ)とは、「1秒間に何回振動するか」を示す周波数・振動数の単位のこと。
その他にも周波数の単位は以下のモノがあります。
- kHz(キロヘルツ)は1000Hz
- MHz(メガヘルツ)は100万Hz
- GHz(ギガヘルツ)は10億Hz
スマホの分野では電波の帯域を表記するときに使われる単語です。
またBluetoothや無線LANといった、スマホに搭載される無線通信もHzを使って周波数を表します。
5Gの周波数帯
5Gでは従来の3.6GHz以下の周波数帯に加え、3.6〜6GHzや28GHzの周波数帯を使っています。
3Gでは2GHz以下、4Gでは3.6GHz帯の周波数帯だったので、帯域幅がいかに広くなったかがわかるでしょう
5Gの周波数帯を利用すれば、今まで以上に高速で大容量な通信が可能に。
2020年からの5G導入へ向けて、今回割り当てられた周波数は28GHz帯で400MHz、3.7GHz帯で200MHzです。
現在KDDIですでに割り当てられている周波数帯が3.6GHz帯で190MHzですので、約3倍の帯域となります。
また2019年総務省は5G用に、3.7GHz帯と4.5GHz帯で100MHz幅を6枠、28GHz帯で400MHz幅を4枠の周波数帯を割り当てました。
そして審査結果によって、携帯4大キャリアに定められた5G用の周波数帯は以下の通りです。
- 3.7GHz帯と4.5GHz帯
NTTドコモ:100MHz幅を2枠
KDDI:100MHz幅を2枠
ソフトバンク:100MHz幅を1枠
楽天:100MHz幅を1枠
- 28GHz帯
NTTドコモ:400MHz幅を1枠
KDDI:400MHz幅を1枠
ソフトバンク:400MHz幅を1枠
楽天:400MHz幅を1枠
この中でどれか一つの周波数帯の電波を利用できれば、5G環境で通信できます。
今回KDDIとNTTドコモに割り当てられた周波数帯は、世界的にも利用される予定です。
通称「エコバンド」と呼ばれています。
アメリカ・韓国ではすでにエコバンドが使われていて、各メーカーはそれに合わせ5G搭載のスマホを開発中。
つまりKDDIとNTTドコモは世界基準で、5Gを利用するユーザーにその便利さを伝えられます!
5Gの周波数帯におけるメリット・デメリットは?
3.6〜6GHzや28GHzあたりの周波数を使うと、私たちはどのような影響を受けるのでしょうか。
5Gの周波数帯のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
5Gの周波数帯におけるメリット
5Gでは4Gで使われていた3.6GHz以下の周波数帯に加え、さらに高い周波数帯を一緒に使うようになりました。
そのおかげで高速かつ大容量の通信が可能となり、4Gに比べて約20倍通信速度がアップ。
今まで2時間の映画をダウンロードするのにかかる時間は5分ほどでしたが、5Gになるとその時間が3秒まで短縮されます。
通信速度が速くなったことで、快適に動画を視聴できます。
5Gの周波数帯で起こりうるデメリット
5Gでは3.6〜6GHzや28GHzあたりの非常に高い周波数帯を利用します。
高い周波数帯だと、長距離通信がしにくいというのがデメリットです。
これら高周波数帯の電波は遠くに飛びにくく、電波というより光に近い性質を持っています。
解決策としては以下の2点です。
- 広範囲で4Gの周波数帯を利用しながら、必要なところで5Gの周波数帯を活用。
- 「ビームフォーミング」という技術を用いて、電波を特定方向へ飛ばしやすくする。
また3.6〜6GHzや28GHzの高周波数帯において、5Gで展開される新しいサービスは既存業務とうまく共用されなければなりません。
既存業務が運用されているエリアでは、ある程度距離を置きながら運用する必要があるでしょう。
世界の5Gの周波数帯を紹介。
世界で見ると5Gの周波数帯はどのような種類があるのでしょうか。
具体的な周波数帯や運用形態をご紹介します。
世界における5Gの周波数帯や運用形態について
5Gの本格的な導入を間近に控え、世界各国で使われる予定の周波数が明らかになってきました。
検討されている周波数帯は主に2種類。
①6〜7GHz
6〜7GHzの周波数帯は、別名sub-6GHz、sub-7GHzと呼ばれています。
本来はWi-Fiなどで使用されるような周波数。
選択する周波数によってはすでに3Gや4Gで使用されているので、今後の検証に時間がかかりません。
②30〜100GHz
30〜100GHzの周波数帯はミリ派帯と呼ばれています。
この周波数帯はまだ利用が少ないため、広い周波数帯を確保しやすく、高速大容量通信に対応しやすいです。
また5Gの運用形態も以下の2つに分かれています。
- 5Gの技術のみでデータの送受信を行う「スタンドアローン」
- 4Gと5Gの技術を組み合わせて実現される「ノンスタンドアローン」
これら5Gの周波数帯と運用形態の組み合わせは、世界各国によってさまざまな違いがあります。
例えばアメリカと中国での5Gの運用計画は、スタンドアローン型が先行していました。
これは世界初の5G商用化へ向けて、さまざまな分野において5G通信を利用していきたいという狙いがありそうです。
その他の日本・観光・ヨーロッパ諸国では、ミリ派帯を利用したノンスタンドアローン型が先行。
日本や韓国といった人口密度が高い地域において、通信処理速度の改善を図るためだと思われます。
まとめ
5Gの周波数帯や運用形態についてまとめてみました。
現状では周波数帯の関係で、4Gと5Gを並行して運用していく国が多い印象です。
その中でアメリカ・中国は5G単独の運用で、5Gの商用化に成功しました。
この2ヶ国に負けないよう、日本における5G技術の発展に期待したいところです!
ワイモバイルの5Gにつて知りたい方は下記の記事を参考にしてください。